龍山寺:歴史、建築、神々を巡る信仰の旅

台北市 万華区
観光
台北龍山寺は、正式名称を艋舺龍山寺といい、1985年に内政部により二級古跡に指定され、2018年には文化部により国定古跡に昇格しました。台北市内で最も古い寺院の一つであるだけでなく、台湾の重要な文化遺産でもあります。台北市萬華区広州街に位置し、台北の歴史的変遷を見守り、数えきれないほどの信者の信仰と祈りを支え、台湾の宗教文化と建築芸術を代表する存在です。


龍山寺は清の乾隆3年(1738年)に、泉州からの移民が集まって資金を出し合って建てられました。主祀は観世音菩薩で、その起源は、移民が携えてきた観音菩薩のお守り袋が霊験あらたかとされたことに始まります。



幾度かの天災や人災(地震、戦火など)による損壊を経ていますが、その都度、注意深く修復され、現在も伝統的な寺院の華麗なスタイルを保っています。宗教の場であるだけでなく、社会活動の中心でもあります。かつて龍山寺は、艋舺地区の人々が集会や相談を行う場所であり、緊急時には避難場所としての役割も果たしました。現在でも、龍山寺は多くの団体や組織がイベントを開催する重要な場所であり、社会機能を果たし続けています。





建築様式は、北向きで南向きの、回字型の三進四合院構造で、前殿(三川殿)、正殿(中殿)、後殿(聖母殿)、左右の護龍で構成されています。三川殿には台湾唯一の銅製の蟠龍柱があり、正殿と後殿はどちらも歇山重簷式の屋根です。寺内の天井画や石彫りの工芸は精巧で、剪黏や交趾陶の芸術が融合し、色彩豊かで、台湾の寺院工芸の粋を集めています。


龍山寺の最大の特徴は、仏教、道教、儒教、民間信仰が融合していることで、誕生から死までを司る多くの神々が祀られています。主祀の観世音菩薩のほか、媽祖、関聖帝君、文昌帝君、月老、註生娘娘などの神様がいます。それぞれの神様が異なる役割を担っており、自分のニーズに合わせて異なる神様に加護を祈ることができます。例えば、仕事の成功を祈るなら関聖帝君、良い縁を祈るなら月老に祈ります。


龍山寺への参拝には一定のルールがあり、一般的には前殿から始め、各殿の神様を順番に参拝します(逆行する参拝ルートは不可)。参拝時には、線香、花、果物などのお供え物を準備し、心を込めて祈ります。祈る際には、自分の名前、生年月日、住所、そして願い事を神様に明確に伝えます。また、龍山寺ではおみくじも用意されており、信者はくじを引くことで神様の導きを求めることができます。



参拝時には、廟の門の敷居を踏まないようにし(神様の境界を象徴)、「龍門から入り、虎門から出る」というルールに従ってください。服装にも注意し、サンダル履きは避け、露出度の高い服装も避けてください。また、女性は生理中は本殿への立ち入りを避けるべきです。寺院内では、静粛を保ち、騒いだりふざけたりしないようにしましょう。また、神像や供物をむやみに触らないように、敬意を払いましょう。



艋舺龍山寺は、単なる宗教の場ではなく、台湾の寺院文化、古建築芸術の模範であり、多様な神々への信仰が融合した場所です。歴史的意義と素晴らしい芸術に満ちた博物館でもあり、実際に訪れて体験する価値があります。

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『艋舺龍山寺』
開放時間:毎日06:00~22:00。
住所:台北市萬華区広州街211号。
Published in 2025
